四柱推命旺

十干と十二支から解命を行う本格的四柱推命の専門サイトです。四柱推命の本質と解命方法を詳しく解説し、ユーザーの皆様の理解を深めていきたいと思います。

命式における天干の変化について(相剋編)

前回は「命式における天干の変化について(干合編)」という記事を書きましたが、今回は天干の「相剋」による天干の変化ついて解説していきたいと思います。もしかすると初学の方は干合と相剋が頭のなかでごちゃごちゃになってしまうのではないかという懸念から、干合と相剋を分けて解説しています。

前回、干合によって天干に合去や合化という作用が起こることを解説しました。同様に、天干の相剋においても「剋去(こくきょ)」という作用が起こることを見ていきましょう。ちなみに天干の相剋においては、この「剋去」作用のみ覚えれば良いため、干合よりはすんなりと頭に入るのではないかと思います。

まずは、以前記事にしましたが、天干の相剋関係について見ておきましょう。

「剋去」するのは冲の関係となる天干のみ

五行の相剋関係は皆さんも既にご承知と思いますが、陰陽をもつ十干の作用となりますと、ただ相剋とだけ表現したのでは足りません。実は、天干の相剋には「冲(衝)」「剋」の二種類あります。

まずは「冲」の関係となる天干から紹介していきます。

「冲(衝)」の関係にある天干

以上が、「冲」の関係にある天干同士です。ご覧のように四種ありますが、これらの天干は真正面から衝突するという意味で「衝(しょう)」あるいは「冲(ちゅう)」などと表現するのです。方角としては真反対に位置する干同士が対立を起こしています。

なお、土の干(戊・己)は中央に位置する干のため、衝は起きません。必ず「相剋」となります。

「剋去」するのは冲の関係にある干のみ

以上の四種の干支が命式において並び合う場合のみ、「剋去」という作用が起こります。「剋去」は「合去」と同様、二つの干支が衝突しあい、互いに無力化・無作用化する作用として覚えてください。このため命式において剋去が起こる場合、それら二つの干は原局において無いものと見まします。

以下、命式の例を上げておきます。

天干が「剋去」する命式

時干日干月干年干

以上の命式においては、赤くなっている庚と甲が冲の関係であり、なおかつこの冲を邪魔する干が存在しないため、「剋去」とみなします。

ただし、以下の命式においては、日干が月干の庚を剋すため、剋去は起こりません。

天干が「剋去」しない命式

時干日干月干年干

以上のように庚・甲が隣り合う場合でも、その隣に冲あるいは剋の関係が成立する場合は、剋去はしません。

また少々ややこしいですが、以下の命式の場合は剋去が成立します。

天干が「剋去」する命式2

時干日干月干年干

以上の命式においては丁が庚を剋しているように見えますが、「陰干は陽干を剋すことはできない」という原則から、丁は庚と相剋関係にあっても相剋は成り立ちません。この事実から、庚と甲の剋去が成立するのです。

※天干の冲なので「剋去」ではなく「冲去」と書いたほうが良いと思われるかもしれませんが、「冲去」は地支の作用の名称であるため、天干の作用と区別する意味で剋去と表現しています。

天干の相剋の見方

これまで天干の冲と剋去について見てきましたが、次は普通の相剋について説明していきます。天干の相剋については、陰陽の違いでエネルギーの減衰の仕方が大きく異なるため、しっかりと覚えておく必要があります。

とはいえ、それほど難しいものではありません。干の相剋には以下のような原則があります。

  1. 陽干と陰干の相剋では陽干が大きく勝る
  2. 陰干は陽干を剋すことはできない

以上を踏まえた上で、以下にすべての相剋の種類を挙げてみます。※「冲」関係は省いています。

干の相剋相剋後のエネルギー
甲剋戊甲が戊を制し、戊はエネルギーを減ずる。
甲剋己甲が己を制し、己は大きくエネルギーを減ずる。(合しない場合のみ)
乙剋戊乙は戊を剋すことができず、乙は大きくエネルギーを消耗する。わずかながら戊もエネルギーを減ずる。
乙剋己乙は己を制し、己はエネルギーを減ずる。
丙剋庚丙は庚を制し、庚はエネルギーを減ずる。また、丙も相当のエネルギーを消耗する。
丙剋辛丙が辛を制し、辛は大きくエネルギーを減ずる。(合しない場合のみ)
丁剋庚丁は庚を剋すことができず、丁は大きくエネルギーを消耗する。わずかながら庚もエネルギーを減ずる。
丁剋辛丁は辛を制し、辛はエネルギーを減ずる。
戊剋壬戊は壬を制し、壬はエネルギーを減ずる。また、戊も相当のエネルギーを消耗する。
戊剋癸戊が癸を制し、癸は大きくエネルギーを減ずる。(合しない場合のみ)
己剋壬己は壬を剋すことができず、己は大きくエネルギーを消耗する。わずかながら壬もエネルギーを減ずる。
己剋癸己は癸を制し、癸はエネルギーを減ずる。
庚剋乙庚が乙を制し、乙は大きくエネルギーを減ずる。(合しない場合のみ)
辛剋甲辛は甲を剋すことができず、辛は大きくエネルギーを消耗する。わずかながら甲もエネルギーを減ずる。
壬剋丁壬が丁を制し、丁は大きくエネルギーを減ずる。(合しない場合のみ)
癸剋丙癸は丙を剋すことができず、癸は大きくエネルギーを消耗する。わずかながら丙もエネルギーを減ずる。

以上の相剋の度合い・違いにより、その人の性質や運勢の様相が異なってくるのです。また日主の強弱の判断においても相剋は重要な視点となりますから、以上を知らないと日主の強弱判断が正しくできないということにもなってきます。

※なお、相剋関係においては、必ず「剋す側も剋される側も互いにエネルギーを減損する」ということを覚えておいてください。赤くなっているのは干合の関係にある干同士ですが、干合が成立しない場合は相剋関係として見る必要があります。