日干の強弱判断実例2~安倍晋三首相の日干強弱
安倍晋三首相の命式は以下だと言われています。1954年9月21日2時35分(真太陽時:3時1分)、東京都生まれです。赤字の干が蔵干分野となります。
天干 | 戊 | 庚 | 癸 | 甲 |
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地支 | 寅 | 辰 | 酉 | 午 |
蔵干 | 甲・丙・戊 | 戊・癸・乙 | 辛・庚 | 丁・丙 |
安倍さんは日干・庚にして酉月金旺の生まれ、つまり日干が月令を得るため、占い師を含めほとんどの人が身強だと認識していることと思います。たしかに五行の力量を計算すると身強になります。
五行 | 力量 |
---|---|
木 | 3.3 |
火 | 4.7 |
土 | 6 |
金 | 15(日干最強であり、10以上の力量があるため身強と判断できる) |
水 | 5.3 |
しかし地支を見ますと、酉・辰が支合の関係であり、なおかつ合去となるため、これらの地支は無作用化します。したがって酉と辰のエネルギーをマイナスしなければなりません。その結果は以下です。
五行 | 力量 |
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木 | 2.3(辰の乙分-1) |
火 | 4.7 |
土 | 4(辰の戊分-2) |
金 | 5(酉の蔵干分-10) |
水 | 4(辰の癸分-1.3) |
となり、金のエネルギーは5となります。5でも日干最強であるため身強と考えてしまいそうですが、水の力量が4程度あり、月干には癸があるため、金はその分マイナスです。また火は4.7と、土の4を上回るため、火剋金の情が強く、結果身強とは判断できません。
※月干に偏印の戊土がありますが、陽土ですので生金する能力が低く、日干を生じる力が弱いのです。これを戊土は偏印だから生じる力大と見て身強と判断すると、大きな間違いを生じてしまいますので、気をつけるべき微妙な判断を迫られる命式と言えるでしょう。
安倍さんの原局における解命の結果は以下となります。
- 日干: 庚金
- 格局: 陽刃格
- 日干の強弱: 身弱(小弱)
- 用神: 己土
- 喜神: 土・金
- 忌神: 火・木・水
- 閑神: なし
しかし、辰・酉の合去によって身弱となっている命ですので、大運・歳運において酉・辰の支合が解かれると身強となります。その場合は、喜神・忌神が逆転することになりますが、合が解けても大きく強に偏る命式ではないため、土や金をそれほど忌みません。このあたりは歳運の読み方の項で詳しく解説していきます。
このため大運は木でも寅は凶、卯は吉となります。その理由が支合解合にあり、寅では支合が解けないからです。事象をうかがうと、寅運(46歳~56歳)では体調が悪化して内閣を総辞職しました。解合できないばかりか、寅・午結託して火剋金となり、病弱そして批判にさらされます。流年で木・火巡る時特に凶。
そして後の卯運(56歳~)は現在ですが、酉・辰を解合するため五行バランスが良化し身強的となります。この大運は発展期であり、地位・名誉・財を得る暗示があります。この解合を読まず、そのまま身弱と判断しつづけると、寅・卯・辰の方合により凶などと誤った判断をしてしまうことになります。