調候とはなにか?調候用神の重要性
このページでは調候用神について解説をしていきたいと思います。まだ一般的な扶抑用神の取り方さえ解説していないのに、いきなり調候用神とは何か?と思われるかもしれませんが、調候は扶抑用神とは全く異なる視点によるものであり、なおかつ扶抑用神と同程度に重要な概念であることから、扶抑用神の解説に入る前に触れておこうと思いました。
まず調候用神とはなにか?ということについてですが、調候は「季節との調和を図る干」、あるいは「寒暖躁湿の調和を図る干」と言うことができます。誰でも寒い時には暖を取る必要があり、逆に暑い時には涼しくすることが心身の健康を保つための当たり前の事項ですが、このような考え方が四柱推命においても必要となります。
そしてまた、調候は「運勢」に対しても大きな影響を及ぼすものなのですが、これが案外知られていません。特に日本の四柱推命においては、扶抑用神どころか十二運や生剋名(変通星)ばかりが取り立てられていますが、実は十二運や生剋名といったものは運勢とは関係のないものです。
また、いかに扶抑用神が適切であっても、調候用神が不適切の場合は、「不運」の人となる傾向が大なのです。
まずは調候の二つの視点から解説をしていきます。すなわち、調候の視点は以下の二つと言えます。
季節による調候
一つは季節による調候の必要性です。これは非常に簡単で、「冬生まれなら火が必要」であり、「夏生まれなら水が必要」ということであります。
もちろん日干が何であるか?といったことによってその必要性の度合も変わってくるのですが、まずは以上のように覚えていただいて間違いありません。
ですから、夏月の生まれ(巳・午・未)でありながら、調候である壬水がないのは忌むことになりますし、逆に冬月の生まれ(亥・子・丑)でありながら、調候である丙火がないのは忌むことになるのです。俗にこれを「生気がない」などと言い、現実面においても薄弱や病弱、または不運や波乱の傾向があらわれることになります。
しかし、命式の構造によって調候の必要性の度合いというものがあります。次をご覧ください。
命式の傾向による調候
たとえば冬生まれであって調候の丙火がないといっても、命式には木が多いのか?土が多いのか?金が多いのか?水が多いのか?といった様相の違いで調候の必要性は変わってきます。
このため冬生まれであり、なおかつ水が多いという命式であれば、調候の丙火の必要性は多大であり、もし調候ない場合は大運に調候を待つしかありません。そして大運においても調候が巡らない場合は、その時期は不運の傾向大となります。もちろん健康にも問題が生じることになるでしょう。
また調候が基本不要な季節(秋のはじめや春以降)であっても、命式が火もしくは水に大きく偏るのであれば、調候を必要とします。ただしこの場合は、極端に暑いとか寒いとかいった季節ではないため、調候の必要性もそれほど差し迫ったものではありません。
このように調候には二つの視点があります。
調候用神の取り方
それでは調候用神の具体的な取り方について解説していきます。要点には以下の二つです。
- 命式が寒・湿であるなら、暖・燥とする火を必要とする
- 命式が暖・燥であるなら、寒・湿とする水を必要とする
という至極簡単な理屈によります。ただし命式の寒暖躁湿を具体的に知るためには、十干や十二支の基本性質をよく知らなければいけません。ここで分かりやすいよう、一例として私の命式を挙げてみましょう。
時柱 | 日柱 | 月柱 | 年柱 |
---|---|---|---|
壬 | 庚 | 己 | 辛 |
午 | 子 | 亥 | 酉 |
私の場合は亥の冬月生まれであり、なおかつ水が強いです。このため丙火は必須となります。そこで命式を見ますと、時支に一点の午火があります。ただこの午は天干の壬に剋され、なおかつ日支の子と冲を起こして無作用化しているため、調候の役には立ちません。このため私の場合は「調候不良」の命式に属するのです。
また命式の暖や寒を見極めるのは簡単ですが、燥や湿についてはどうでしょうか?暖や寒は季節やその干支によって、火(暖)が強いか水(寒)が強いかで簡単に見分けがつきます。しかし燥や湿は火や水の干支の有り様に加え、土の干支の有り様によって見極めます。すなわち「己土は湿であり、戊土は燥」です。
さらに地支についても見ていきましょう。共に火が蔵されている土が燥土であり、共に水が蔵されている土が湿土であります。地支においては「未・戌」が燥土であり、「辰・丑」が湿土に当たります。このため未・戌が多ければ燥の傾向、辰・丑が多ければ湿の傾向となることを覚えておいてください。
ですから調候がそれほど必要ない季節であっても、たとえば未・戌が多ければ水が必要ですし、反対に辰や丑が多ければ火が必要です。必要ということはつまりは運勢を良化するということです。
調候があっても、合・冲する場合は調候の役に立たない
私のように調候があっても、調候が合去や冲去する場合は、調候があってもその作用がないものと見ます。その場合は、歳運によって調候が適切になるのを待たなければいけません。すなわち、「大運の干支によって合・冲が解ける時期が開運期」となります。
また開運期というだけではなく、心身ともに調子の良い時になります。調候が不良ですと、現実面においては健康を害しやすく、不調となるからです。※ちなみに調候不良の人の場合、姓名に調候用神を入れることは大変重要であり、それによって運勢(特に健康運)は大きく良化します。
運勢と調候の関係について以下に簡単にまとめておきます。
- 命式は調候が不要なほど気の巡りが良い - 大吉
- 命式に必要な調候があり、その働きが適切 - 吉
- 命式に必要な調候があるものの、不良 - 小吉
- 命式に必要な調候が一点もない - 凶
と簡単に言うことはできますが、これも大運の動向によります。
主に調候の働きをするのは丙火と壬水である
それから調候を語る上でとても重要な事は、「主に調候の働きをするのは丙火と壬水である」ということです。つまり丙火は陽の火、壬水は陽の水であり、それぞれ調候としての働きが強いため、調候と言えば主に丙と壬の二干を指します。
ただし、「では陰の干では調候の役に全然立たないのか?」というとそうでもなく、陰の干でも無いよりはかなりましです。しかし調候の働きとしては、陽の干の半分程度と弱いですから、特に偏った命式の場合はほとんど役に立ちません。
それは例えば以下のような場合です。
- 夏生まれの丙の人で、なおかつ火が大過している場合、癸水では全く役に立たない
- 冬生まれの壬の人で、なおかつ水が大過している場合、丁火では全く役に立たない
ということです。しかしエネルギーの強い干である丙火・壬水が適切な場所にあれば、これらは調候の役割をよく果たし、その生命エネルギーと運勢を良化してくれるわけです。
季節別、調候の取り方
最後に季節別に調候の要・不要を簡単に解説しておきたいと思います。
春生まれの人(寅・卯・辰)
春は、寅月の雨水頃まではまだ寒いですから、調候として丙火が必要だとされています。ただし、日干が丙の人はこの限りではありません。
卯月・辰月生まれは基本的に調候は不要です。
夏生まれの人(巳・午・未)
夏生まれの人は調候として壬水が必要です。また壬水とともに、水源となる金が有用な場所にあることが望ましいとされています。なぜなら水源がないと水は涸れてしまう恐れがあるからです。ただし日干が壬の人は金が適切な場所にあれば水は必須とまでは言えません。
特に日干が丙・丁の人は調候の水がないと波乱や病弱の傾向となります。
秋生まれの人(申・酉・戌)
秋は特に9月以降の生まれの人は暖を取るために丙火が必要です。申月前半生まれの人は調候は必須ではありません。
また戌月生まれの場合は暖となる丙火の他に、燥土を湿にする水が必要です。この水は陰・陽どちらでも良いでしょう。火と水が適切な場合は良好な命と言えます。
冬生まれの人(亥・子・丑)
冬生まれの人は丙火が必須です。特に子後半や丑生まれの人は丙火が不可欠であり、ない場合は「生気全く無し」となります。ただし日干が丙の場合は木があれば火を必ずしも必要とはしません。対して丁火の場合は木があっても火が別に必要です。
以上、季節別の調候のとり方を簡単に解説致しました。ただしもちろん調候が季節的に不要な場合も、命式が寒暖・燥湿に大きく偏る場合はこの限りではありません。