四柱推命旺

十干と十二支から解命を行う本格的四柱推命の専門サイトです。四柱推命の本質と解命方法を詳しく解説し、ユーザーの皆様の理解を深めていきたいと思います。

ご依頼者様の命造より~2度の自殺未遂と大波乱の人生、最低位相命式の判断基準

今回は久々に四柱の実例として、ご依頼者様の命造を取り上げたいと思います。位相の判断を行うことにより、ユーザー様の理解増進や、先天運や先天運と姓名のバランスの重要性も再認識していただけると考えております。

巷の四柱推命ではこの【位相】判断というものが疎かになっており(というよりも知らない)、変通星や十二運、神殺等で当てずっぽうの判断を下すということが多いため、どのような命式が喜で、どのような命式が忌なのかをきっちりと判断することが四柱推命の本来の意義でもあります。

もちろん喜なのか忌なのかはっきりとは判別できない、一面において喜、一面において忌と判断できるものもありますが、これについても【位相】という数値・段階で判断することができます。

またこれは虎の舞でも幾度も言っていることですが、位相が低い場合は、特に姓名構造が重要になるのであり、先天運位相も低、姓名位相も低という場合は(今回のご依頼者様の例)、極端な波乱に見舞われることになるのです。

ご依頼者様のこれまでの事象

まずはじめに今回のご依頼者様の事象について端的にご紹介します。誤解がないように、私の文章ではなく、ご依頼者様のご依頼時の文面をそのまま引用したいと思います(一部詳細やプライバシーに関わる文面については省略)。

孤独で大変寂しい人生です。 なので老後が恐ろしいです。 助けて下さい。

  • 交友関係:恐怖心が強く、自分の気持ちを言えない。そのため友人はいない。 (親友・可愛がってくれた親戚がいたが、共に早くに亡くなった)
  • 健康:精神病・肝臓系難病
  • 仕事:こなすのがやっとで寝ずの勉強の日々。叱責・仲間と馴染めない・仲間外れ(初めはいいが、嫌われていく)。味方ができない。精神的な疲れ。転職を繰り返し、現在は無職。
  • 恋愛:暴力・性のはけ口とされる
  • 精神面:感情的になると他人の迷惑を考えない。親には随分迷惑をかけてきた。

上記に加え、以下のようなお知らせもいただきました。

  • 1985年頃より、人間関係がうまくいかないことで、教室に入るのが億劫(休みがち)になる。その頃、暴力を振るう恋人と付き合っていた。しかし貢いで貯金もなくし、現実に気づいて逃げるように別れた。
  • 2005年1月あるいは2月頃より1年程度、腰痛治療を行う。
  • 2006年6月19日、親友の病死。(親友は統合失調症を患っていた。内臓の病気を全ての人に隠し、自ら死を選んだ。)その後、頭の中で「プチッ」という音がして、幻視・幻聴の症状が出始める。症状は悪くなる一方で、薬が強くなり体は大変重いが、精神面・脳内は感情の高ぶりが抑えられず地獄のようだった。その年9月、服薬による自殺未遂。
  • 2013年7月、健診にて胆管の難病発覚。
  • 2015年(記憶では2016年でしたが、記録では2015年5月18〜19日でした)包丁を胸に何度も刺し自殺未遂。辛さは全くなく、幸せだった。ただ力が足りず傷が浅くて死ねなかったことや、その後入院させられた精神病院での日々は辛かった。同じ病気同士であろうと、人と関わりあって心を癒そうという場所では、私には居場所がなかった。
  • 2023年夏頃より母の体調不良、10月6日手術、10月26日退院、母の世話開始。母は大腸手術の後遺症と認知症がある。

ご依頼者様はこのように大変波乱重々な人生を生きた来たとのことでした。ただ希望は捨てておらず、虎の舞にご依頼をいただいたという次第です。

ご依頼者様の命造と格局・位相判断

それではご依頼者様の命造を見てみましょう。以下四柱です。

天干
地支

日干は丙火であり、月支は亥月・水旺の生まれとなっています。このため日干に対しては官が月令を得ており、死令であることが分かります。

もうぱっと見ただけでも分かる人は分かるかと思いますが、水が大過しています。それは地支の亥・子・丑による水の方合成立によってさらに強まります。以下で原局における五行力量を確認しましょう。

  • 木:0
  • 火:1程度
  • 土:3程度
  • 金:6程度
  • 水:40以上

大体補正をしてこのような力量配分となりますが、極端に水が強いことがお分かりいただけるかと思います。従殺格なので当然ですが、水の方合によって印が皆無であることが致命的となります。

まずは格局判断ですが、官殺が月令を得ていて、さらに官(水)が大過しており、なおかつ印が皆無ですので、従殺格となります。陽干は従しがたいと言いますが、官の力量が40以上あるため、比劫二干では全く太刀打ちできません。このため従格となります。

  • 日干:丙
  • 格局:従殺格
  • 日干強弱:身弱(極弱)
  • 用神:壬水
  • 喜神:水・金
  • 忌神:木・火
  • 閑神:土
  • 調候:丙火(不良)
  • 位相:低の低(10中であらわすと1~2程度です)

問題は、従殺格では原則的に官殺が喜神となることです。官殺が喜神となるならば、命造は喜神だらけということになるので、良い運の持ち主ではないか?と勘違いしてしまうことです。実際にそのような判断を見たことがありますが、大変間違った判断ですのでここに注意が必要です。

以下に、なぜ位相が最低ランクになるのかを説明致します。

従殺格は破格となることがあり、破格になると官殺・財・食傷が忌神になること

従殺格には破格があり、破格期は喜神・忌神が逆転します。ご依頼者様の命造の場合は、寅・卯・辰(木旺)・巳・午・未(火旺)が大運に巡ると命式は破格となります。なお午だけは、水の方合を解くため流年干支でも命式が破格となります。

このため、特に大運に忌神が巡る命式においては、破格時期の運勢・位相も考慮することが必要となります。破格となる場合、40以上の力量がある官がすべて忌神となるわけですから、大波乱となることは間違いなく、このことを【位相】判断に組み込まないわけにはいきません。

ちなみにご依頼者様は1994年から現在まで大運干支によって命式が破格となっていました。破格期の喜神は木・火、忌神は水・金・土です。

つまり、位相が最低レベルになる主な理由が上記なのです。

また以下の理由から、喜神運であっても喜を発揮できない命造です。

調候不良であること

調候用神に全く言及しない四柱推命も見かけますが、調候の必要度合いと有無が運勢に非常に大きな影響を与えます。ご依頼者様の命造は亥月の水旺にして水大過の命造ですので、調候は喫緊の課題と言えるものです。

ここで日干自体が丙火だからいいのでは?と思われるかもしれませんが、大きな水のエネルギーに対して丙火一干では当然足りませんので、調候不良と判断できます。

このため、金や水の喜神運が巡っていたとしても、なかなか喜を発揮できないわけです。特に金や水の運期は調候不良の深刻度を増すため、喜神でも忌神的作用をもつという矛盾が生じてしまいます。したがって当然調候不良もマイナス点となります。

五行バランスが極端に悪いこと

当然ですが従旺格や従殺格は五行バランスが大きく偏ります。このため命造は通常時喜神ばかりという状態になるものの、五行バランスそのものが悪いというマイナス面があります。

ご依頼者様の例では、官が強すぎるせいで、生活や環境の運と言われる食傷は弱い、また財運を司る財干も官にエネルギーを吸い上げられて弱い、という状態になります。このような状態のため、食傷運や財運が上がりません。たとえ金の財運が巡ったとしても、官の水を生じ強めることになるため、財運も弱い状態(お金がない状態)が続くということになるのです。

大運による破格と喜神・忌神の変化

ここではご依頼者様の主な忌象と大運による喜神・忌神を確認してみましょう。

『1985年頃より、人間関係がうまくいかないことで、教室に入るのが億劫(休みがち)になる。その頃、暴力を振るう恋人と付き合っていた。』1985年は大運【乙丑】の水旺運であり喜神運(命式破格ではない)ですが、既に官の忌象(暴力を振るわれる)が発生しています。ちなみに流年干支も【乙丑】です。

以下より大運が忌神運になり、命式が破格となります。なお1994年からの【丙寅】運の記述がありませんが、この運は命式破格であっても調候の丙火が来て調候まずまず適切となること、および寅中にも丙火、甲木があることが助けとなっていたものと推測できます。

『2006年6月19日、親友の病死~自殺未遂』2006年は大運【丁卯】木旺運であり命式破格。喜神は木・火、忌神は水・金・土となりますが、流年干支に【丙戌(土運)】巡り日干過弱に陥ります。

戌は水が強いせいで湿土となり酉金を生じ強めます。結果として金は水を生じるため官を強める運となり日干を傷付けるという官の忌象が発生することになります。

『2013年7月、健診にて胆管の難病発覚』2013年は【丁卯】木旺運で命式破格。流年干支は【癸巳】の火運ですが強い水に太刀打ちできるわけもなく忌象を発生。

『2015年(記憶では2016年でしたが、記録では2015年5月18〜19日でした)包丁を胸に何度も刺し自殺未遂』2025年は【戊辰】木旺運で命式破格。2015年5月は【乙未】忌神の土運であり水によって湿土生金。また大運の辰も湿土で金・水に加担することも凶と言えます。

『2023年夏頃より母の体調不良、10月6日手術、10月26日退院、母の世話開始。母は大腸手術の後遺症と認知症がある』2023年は【戊辰】土旺運。命式破格ではないが、五行バランスの悪さと調候不良度合いが強まり喜を発揮するどころではなく、困窮の様相。こちらも官の忌象です(責任過重、自由がなくなる)。

官は日干(自ら)を剋す干ですので、官大過においては自傷行動がしばしば見られます。

ご依頼者様の姓名位相

最後に、姓名位相が先天運のマイナス点を補い切れず、ほぼ先天運どおりの波乱的運勢となってしまったことについてお話致します。

ご依頼者様の姓名は三才相生構成でありましたが、忌神の水が二格にあり、水の力量を増してしまうというマイナス点をもっていました。しかしながら、破格期の喜神である木が三格にあることが救いとなっていたことも事実です。印は強すぎる官の力量を抑え、日干を生じることができるからです。

ただし、木は強すぎる水に遭うと、木が湿り生火不能になるということもあるため、水・木のみの構造は良いとは言えません。

とはいえ印の木は破格期における喜神ですので、もし木がなく水ばかりの姓名構造であれば、実情はもっと悪くなっていたと想像できます。しかし木三格・水二格の姓名構造であっても、総合的に水の力量は50となり、木の力量は15程度になりますから、バランスが取れません。

また姓名には調候用神の火がないことも大きなマイナスであり、三才吉配置であっても先天運および先天運と姓名のバランスの悪さにより吉祥面が相殺されることになるのです。

したがってご依頼者様に対しては、上記の点を補った姓名をご提示致しました。