四柱推命旺

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波乱の多い従旺格と、喜命となる従旺格の違いについて

今回は従旺格の喜忌について解説をしたいと思います。従旺格につきましては、従旺格であるというだけで何か特別運の強い命運であるかのような印象をもっている人がいるようですが、実はそうではなく、従旺格の中にも喜となる傾向の命造、忌となる傾向の命造がありますので、この点を説明していきたいと思います。

ただ従旺格の中において喜忌の違いがあるとはいうものの、概して従旺格の命は波乱の命運となりやすいのです。それは今回の説明で自然と理解されるものと思います。

ちなみに今回説明する従旺格の喜忌については、従旺格に特有のものではなく、すべての格局に当てはまるものです。したがってこの点を抑えていただければ、あらゆる命造においても大凡の喜忌の傾向性が分かるようになるでしょう。

従旺格が波乱の命運となりやすい理由

ここでは従旺格の成立条件については解説しません。従旺格とはどんな格局か?従旺格の成立条件は何か?といった問題につきましては、【従旺格の成立条件】をお読みください。

まず、従旺格の人が波乱の命運となりやすい理由を以下に挙げます。

  1. 調候が不良となりやすい(たとえば日干・丙の従旺格は、必ず調候不良となる)
  2. 従旺格は一般的に命式の五行バランスの偏りが大きく、それが運勢面においても偏りを生じるため
  3. 従旺格には破格という作用があり、これによって命式の五行バランスの偏りが大きいほど波乱となるため

従旺格には以上のような特徴があるため、つまり真の従旺格ほど波乱の命運となりやすいわけです。つまり真の従旺格の場合は、概して命式が印と比劫のみによって構成されることが多く、命式の五行バランスが大変偏るためです。

対して仮の従旺格の場合は、命式に財や官が含まれることがあるため、破格となってもそれほど大きな偏りは生じない、つまり波乱とはならないという傾向があるためです。

しかしこれは平均的なことを言ったものであり、実は真の従旺格でも大いに喜となる傾向の命もあれば、仮の従旺格であっても大いに忌となる傾向の命もあるわけです。恐らくこのような説明だけではよく分からないと思いますので、これより二つの従旺格の命式を例にそのことを解説してみたいと思います。

喜命となる従旺格の例

まずはじめに喜命となる従旺格の例を紹介したいと思います。なお今回は大運の動向は加味しませんので、あくまでも命式・命造そのものについて論じていきます。

以下は先日も紹介した石橋貴明さんの命式です。石橋貴明 さん(男性)は、1961年10月22日09時10分、東京都葛飾区生まれだと言われています。

天干
地支戌(土旺)

以上が石橋さんの命式ですが、日干・戊土に対し、月支は戌月・土旺ですので月令を得ており、なおかつ土を剋す木が一つもないため真の従旺格となります。しかし以下の理由から、石橋さんの命式は喜の傾向性が強いことが分かります。

  1. 調候が適切。戌月の調候は丙火・壬水だが、そのどちらも有しており、なおかつそれらが日干に有情である
  2. 命式には食傷の金と財の水があり、五行バランスが印と比劫だけに偏らず、喜の傾向性が強い。これは才能に恵まれ、また財運が強いことを暗示している
  3. このため歳運において木旺運が巡り命式が破格となっても、木->火->土->金->水と気が流通するため波乱が少ない

お分かりいただけたでしょうか?すなわち石橋さんの命式は、従旺格(以外もまたしかり)が波乱となりやすい理由である調候、そして命式のバランスが適切であるため、喜の傾向性が強いわけです。

また冒頭でも少し触れましたが、このような命式の喜忌の見分け方は従旺格だけのものではなく、全ての格局に共通のものです。つまり普通格局であれ特別格局であれ、命式が特定の五行に大きく偏っていれば忌の傾向大、反対に命式の五行バランスが良く気が流通していれば喜の傾向大というように見分けることができるというわけです。

しかしながら、これは命式そのものの構造のみでの判断ですので、一生における喜忌の傾向性はやはり大運を含めて見なければいけません。

なお、石橋さんの命式の詳しい解説は【従旺格の用神・喜神・忌神の見極め方】をお読みください。

波乱となる従旺格の例

つづいて命式の五行バランスが悪く、波乱の傾向となる従旺格の例を紹介したいと思います。以下は私の父親の命式です。

天干?(甲)
地支?(午)

時柱が不明なのですが、事象と大運から『仮の従旺格』だと判断しています。日干・丙火に対して、月支・巳月ですので月令を得ており、なおかつ地支はすべて木と火。天干には癸水ありますが丁と冲去していますので、従旺格であっても仮です。

時柱の()内は予測した干支です。これは実際の父親の性質と事象から推測したものですが、これが本当ですと命式はほぼすべて木と火のエネルギーのみとなるため、大変偏りが大きいです。また丙火の従旺格は必ず調候が不良となるため、かなり波乱の傾向性が強くなります。その理由を以下にまとめてみます。

  • 調候が不良であること
  • 調候の五行が忌神となること(水が忌神。つまり調候が巡っても命式が変格となるため、波乱の時期となる)
  • 印と比劫のみによって命式が構成されるため、財運が弱く、また才知にも欠ける傾向となる

以上のような理由により、私の父親の命運は波乱の傾向性大と言えます。実際にこれまで借金苦・生活苦、母親(妻)との相剋、怪我、病弱傾向といった事象があり、お世辞にも恵まれているとは言い難い運命でした。

なお才知・才能は食傷が象徴し、財運は財が象徴しますので、従旺格であれ普通格局であれ、食傷や財の五行が弱い場合は基本的な財運は弱いです。ただしもちろん、従旺格の場合は大運で財旺運が巡れば財運が活発化しますが、食傷がない場合は一時的な発財となります。

一般的には、従旺格というだけで何か特別な強運の持ち主というように思われてしまう傾向がありますが、実際は逆であり、むしろ波乱の命となることが多いということが分かっていただけたでしょうか。

丙・丁、壬・癸の従旺格は波乱の傾向性大

これまでの解説から既に察した方もいるかもしれませんが、実は以下の四つの干においては特に調候が不良となることから、波乱となることを免れません。調候とはそれほど重要なものなのです。

丙・丁は火旺月に生まれ、なおかつ火が最強となるため炎上し、調候不良。壬・癸は水旺月に生まれ、なおかつ水が最強となるため水冷となり、調候不良。四柱推命において、調候は命を活かす原動力となるものですから、このどちらも生気のない命式となり、したがって波乱の傾向性大となります。

また、庚や辛も金旺月に生まれ金が大過となるので調候は不良となるものの、火や水のように極端に火を欲するわけではありませんので、少しましになります。とはいえ、やはり五行バランスに大きな偏りが生じやすく、それがそのまま運命にも出やすいのです。