四柱推命旺

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犯罪者に多い命式タイプ解説~麻原彰晃・植松聖の命式など、モラル意識を象徴する干のアンバランスによる運勢波乱の傾向

今回は、四柱推命における犯罪者に多い命式タイプをざっくりとではありますが、解説してみたいと思います。早速言ってしまうと、犯罪者に多いのは『官の大過、または食傷の大過(いずれも普通格局)』の二つの命式タイプとなります。

これはなぜかと言いますと、それは『官の五行は道徳やモラルに対する意識を象徴する』ため、官がアンバランスな人はモラル意識が低い傾向となり、したがって犯罪等に手を染めやすくなるためです。

なぜ官がアンバランスになると常識に欠ける人となるのか

まず生剋名である「官」については、あらためて説明する必要はないと思いますが、ここで確認しておかなければならないことがあります。それは官とは、日干を剋する五行であることは周知の事実ではあるものの、その性質面における作用はあまり知られていません。すなわち官は特に「道徳・規範・常識」などを象徴するものなのです。

なぜなら、「官とは日干が強くなりすぎないように適度に抑制する働き(管理や統制の意味があり、このため官と名付けられた)」があるためです。そして日干は自分自身であり、生命の中心核、すなわち自我ですから、官とはすなわち、『社会生活を円滑に営むため、自我を適度に抑制する働き』があると言えるのです。

このため、官が適切な人は概して常識人であり、ほどよい自制心や克己心があります。

その点にしたがって考えると、官が大過することでモラル意識が欠如することは、容易に想像がつくでしょう。官が自我のバランスを取るため、官のバランスが適切な人は概してモラル意識が高い(常識的な人)傾向となり、アンバランスな人はモラル意識が低い傾向となるわけです。

ただし、官がアンバランスといっても命式の構造によって主に二つのタイプがありますから、以下ではこれら二つのタイプについて、順番に見ていくことにします。

犯罪を犯しやすい命式タイプ1~食傷が大過し『官弱』となる場合

まず一つ目は、『食傷が大過する普通格局の場合』です。食傷が大過する場合は、当然のことながら食傷が官を剋すため、官は食傷とともにアンバランスな状態となります。このような食傷過剰の命式タイプは、自我の発現である食傷が官を強く剋すため、束縛を最も嫌い、常識など関係なく自分勝手に振る舞うタイプが多くなります。

たとえば、以下の命式は食傷が大過しており、日干が過弱となっています。

天干
地支

官とは本来、適度に日干を抑制することが吉となりますが、以上の命式では印や比劫は見られず、日干が大変弱い状態です。一見土の官が大過しているようにも見えますが、月支は寅月・木旺と食傷が月令を得るため、食傷の力量が勝っています。そしてこの命式は、食傷と官が混在するため普通格局となり、なお良くないのです。

時柱不明ですが、地支には戌・未と土の地支二つと天干には戊土があり、それに抵抗するように食傷の木が配されており、明らかに食傷・官混在する凶命となっていることがお分かりになるでしょう。

この命式はあの麻原彰晃のものでありますが、日干の根がなければ食傷・財・官はいずれも忌神となり、なおかつ比劫の水も忌神に近い閑神となります。そのためもし時柱にも木・火・土などがある場合は、日干は過弱となり、歳運で喜神が巡っても発福し難い命となるのです。

最後に、食傷が大過する普通格局の性格のタイプを確認しておきましょう。命式の定義としましては、食傷大過の普通格局で、なおかつ印や比劫がほぼ皆無の場合です。

  • 自由奔放かつ自分勝手なタイプであり、自制心は全くなく、身勝手な振る舞いが多い
  • 自我が非常に強く、何でも自分の思い通りにやらないと気が済まない
  • 考え無しに欲望のまま行動することが多く(日干過弱のため)、それがやがて破滅を招くことになる

ちなみに麻原は、姓名においても忌神が大過しているため、極めて運勢波乱となる傾向がありました。

犯罪を犯しやすい命式タイプ2~官が大過し『殺』となる場合

続いて、アンバランスとは言っても、官が大過するケースを見ていきましょう。こちらの場合は、先ほどの麻原のように食傷が大過するわけではないため、性格の傾向も全然違ってきます。まずは官が大過する場合の性質傾向から確認していきましょう。

  • 一見すると大人しいが、しかし内面は非常に攻撃的かつネガティブな考えをもち、自分を責め苛む傾向が強い
  • 官が日干を過剰に剋すため、常に精神不安定で感情の起伏も激しく、荒れやすい
  • 怒りやストレスを内部に溜め込むため、人を恨みやすく、時に爆発的となる

官が大過する場合は、以上のような性質傾向となります。つまり官とは本来、適度に日干を抑制することが吉となりますが、官大過の命式では弱い日干を官がさらに剋すため、官が大過し『殺』となってしまいます。

官が殺に変じますと、それはある意味では日干(生命)への虐待のような状態となるため、当然日干は傷ついてボロボロになり、モラルなど考えられるはずもなく、反抗的かつ暴虐なタイプとなるわけです。

このため官大過のタイプは食傷大過のタイプとは違い、その犯罪が『ある種の反抗』となる傾向があります。もちろん何に抵抗・犯行するかと言うと、『強すぎる官』に他なりません。以下は、相模原障害者施設殺傷事件を起こした植松聖の命式です。

天干
地支

地支には金の三合である巳・酉・丑が綺麗に揃っており、日干を強く剋しています。命式は従格も疑われるものの、犯行時の運気を見る限りでは普通格局となるでしょう。犯行時の大運は【甲戌】の土旺であり、命式の金を強めていたからです。

日干は2程度と極めて弱く、それに比して官の金はもしこの三合が成立する場合は24以上ありますから、明らかに官大過です。

このような命式の場合、歳運においてさらに官が巡ってくる時期は病難・災難など続発する傾向があるのですが、彼の場合は大量殺人という甚大な事件を起こし自ら波乱を作りました。そして彼の経歴をうかがうと、過去には薬物の乱用・暴力・器物損壊・喫煙などの非行が多数あり、やはり官大過の性質傾向があらわれています。

しかし、ここまで先天運に焦点を当ててきましたが、姓名も大変重要なものであります。すなわち、先天運において官が大過していても、姓名に印や比劫などの喜神が多くあれば、それほど悪い方向へはいかないものなのです。しかし前述の麻原や植松の姓名は、そろって姓名には忌神ばかりで喜神は全然なく、総合的に見て極めて官のバランスが悪い状態となっていました。

したがって以上の事実から言えることは、先天運だけで犯罪者になると決めつけられることはできないものの、精神の不安定さやモラル意識が低く非行に走りやすい傾向は判別できるため、その点をうかがい、人生に活かすことはできると言えるでしょう。