四柱推命旺

十干と十二支から解命を行う本格的四柱推命の専門サイトです。四柱推命の本質と解命方法を詳しく解説し、ユーザーの皆様の理解を深めていきたいと思います。

生旺墓絶(十二運)とはなにか

このページでは、日本では主に十二運と称せられる「生旺墓絶」について解説していきます。いきなりですが、実は生旺墓絶や十二運といったものは四柱推命においてはほぼ無用です。私も各人の解命を行う際に生旺墓絶を見ることはほとんどありません。

それなのになぜ生旺墓絶を取り上げるのかといいますと、それは日本の四柱推命では今も十二運を推命における中心問題のように考えている人が多いと感じるため、正しい理解をうながすために生旺墓絶を取り上げようと思った次第なのです。

ちなみに「十二運」とは、日本式の四柱推命において生旺墓絶が言い換えられたものです。しかし実際は生旺墓絶は「運」などではなく、日干の一年における循環の有り様に名称を付したものなのです。ところが「十二運」と言うと、あたかもそれ自体が運勢をもつかのように思いたくなりますし、実際にそう思い込んでしまった人が多くいるのが現実です。

そしてそのことを利用し、日本の四柱推命では十二運と称して人を脅かす占い師が多くあらわれました。これが生旺墓絶の大きな誤解の始まりです。

そのため、本記事はそんな誤解を解いていきましょうということなのです。

そこでまずは、そもそも生旺墓絶とは何か?から解説していきたいと思います。

生旺墓絶は日干と地支との関係における循環率

簡単にいいますと、生旺墓絶とは「日干と地支との関係における循環率に名称を付したもの」と言うことができると思います。もう少し具体的にいいますと、「一年十二ヶ月における、日干に対する月支の変遷のありよう」となります。

日干の一年十二ヶ月(十二支)における対応ですから、生旺墓絶には12の名称があります。以下で具体的に見ていきましょう。生旺墓絶はよく人間の一生に例えられますが、穀物に例えたほうがより分かりやすいと感じるため、米や麦などの農作物に例えて解説します。

名称意味
長生まかれた種子から芽がでる頃
沐浴成長途中のまだ弱々しい頃
冠帯しっかりと成長してきた頃
建禄さらに成長して実り豊かな頃
帝旺熟しきって刈り取りを待つ頃
刈り入れの時
脱穀の時
袋詰の時
倉庫に納める時
発芽の時期まで静かに待つ時
種子がふくらみ始める頃
田畑にまかれる頃

という1年における循環率が生旺墓絶の本質なのです。「病」や「死」などと言うといかにも悪いように思われますが、実は日干にとってエネルギーが弱い季節であるというだけであり、「死ぬ」とか「病弱」とかいう意味では全くありません。

日本の四柱推命では以上を十二運と称し、それぞれに運があるかのようにして占うのが特徴です。たとえば「時支に沐浴がある人は晩年波乱の傾向」などというのがそれですが、四柱推命はあくまでも四柱全体の構造からその人の命運を読み取るものであり、「生旺墓絶一つで運命が分かるものではない」ということを改めて強調しておきたいと思います。

ちなみにこの生旺墓絶は、旺相死囚休(おう・そう・し・しゅう・きゅう)という概念と密接な関係があるのですが、真に重要なのは旺相死囚休の方ですから、旺相死囚休の理さえ覚えておけば間違いがないのです。ただ旺相死囚休については、一度に解説するとおそらく混乱が生じるため、後ほど別ページを設けて解説したいと思います。

それでは、具体的に日干に対してどの地支がどの生旺墓絶に割り当てられるのか?次はそのことについて見ていきましょう。

各干と地支との生旺墓絶の対応

以下に日干と地支との生旺墓絶の対応表を示したいと思います。ところがややこしいことに、生旺墓絶には干の陰陽を同一として対応させた「同生同死の循環率」と、陽干と陰干とを分けて対応させた「陽生陰死・陰生陽死の循環率」との二通りがあります。

まずは理論的にも多少根拠のある「同生同死の循環率」から見ていきましょう。

日干甲・乙丙・丁庚・辛壬・癸
長生
沐浴
冠帯
建禄
帝旺

以上が「同生同死の循環率」における生旺墓絶の対応表です。こちらは「陽生陰死・陰生陽死」と比べ、まだ理があります。その理由は後の「陽生陰死・陰生陽死」の表を見ていただくと分かりますが、一応日干が旺となる季節と、生旺墓絶の旺衰がリンクしているからです。

しかし日本の十二運は概して十干すべてに個々の循環率を対応させた「陽生陰死・陰生陽死の循環率」です。このため「陽生陰死・陰生陽死」の生旺墓絶の表も以下に掲げておきます。

日干
長生
沐浴
冠帯
建禄
帝旺

以上が十干それぞれに生旺墓絶を割り当てたものです。しかしよく見てください。丙と戌の生旺墓絶は全く同じですし、丁と己の生旺墓絶も全く同じです。これはつまり、一年において3ヶ月程度のまとまりを旺の季節とする木・火・金・水の干と比べ、土の干の場合は土旺の季節が春・夏・秋・冬に散在することから、生旺墓絶の循環率には素直に適合せず、よって後付けしたことによるのです。

その理屈は「土を火に寄せる」と考えたことに依るらしいのですが、土が火と同じ循環率に従うという理屈は極めて不合理であり、なおかつ実証的ではありません。つまり解命においては何の役にも立たないものなのです。※当サイトでもプログラム判定において、おまけ程度に生旺墓絶を載せていますが、今後削除することを検討しています。

生旺墓絶(十二運)を用いた解命の例

それでは最後に、実際に生旺墓絶を四柱に割り当てて見ましょう。一般的には「陽生陰死・陰生陽死」の生旺墓絶を、日干から見たすべての地支に対して割り当てていきます。

以下、私の命式を取り上げます。

時柱日柱月柱年柱
天干
地支
生旺墓絶沐浴帝旺

とこうなります。皆さんも以上で掲載した表を参考に、簡単に地支に生旺墓絶を割り振ることができます。やはり「死」や「病」などと書かれていると少し心配にはなりますが、以上の説明を読んだ後ではおそらく何も怖くはないでしょう(笑)

ちなみに少々難しい話にはなりますが、本来は生旺墓絶の循環率と旺相死囚休の循環率が一致していなければおかしいのです。ところが生旺墓絶の循環率においては、甲木の絶は「申」であり剋される関係ですが、庚金の絶は「寅」で剋す関係と、循環率が旺相死囚休の理と一致しません。これが生旺墓絶の理論が一貫性に欠け、実証的ではないという理由なのです。