四柱推命旺

十干と十二支から解命を行う本格的四柱推命の専門サイトです。四柱推命の本質と解命方法を詳しく解説し、ユーザーの皆様の理解を深めていきたいと思います。

用神の見極め方~普通格局の身弱編

今回は四柱推命において最も重要な事柄である『用神の取得方法』について解説をしたいと思います。解命の大凡の順序としましては、まず格局の選定->日干の強弱判断->用神の見極め(喜神・忌神の判断)となりますが、この用神は『命式の気の流れを良化する一神』とも言える、その人の発福の要とも言えるものですので、用神取得は最も重要な事柄と言えるのです。

しかし日本の四柱推命では、概してこの最も緊要である用神の取得がおろそかにされ、変通星がどうだとか、十二運はどうだとか、冲・合による吉凶はどうだといった四柱推命の枝葉末節の部分がクローズアップされることが多く、それゆえ全く肝心の命運が分からないといったことが多くあります。

当サイトを通じても何度も言っていることですが、四柱推命の基本は『用神および喜神・忌神を見極め、その者がもって生まれた気質や才能、またその者の一生における運勢の起伏を明らかにする』ということですので、まずは用神が分からなければ何も分からないということになるのです。

普通格局における用神の見極め方

ということで早速、用神の見極め方について解説していきたいと思います。ただし、用神の取得方法は特別格局か普通格局かで大きく異なる場合がありますので、まずは普通格局における用神の取得方法を解説していこうと思います。

そして普通格局とは、食神格・傷官格・偏財格・正財格・偏官格・正官格・偏印格・印綬格の八つの格局のことです。なおこれら普通格局の成立条件につきましては、以下の記事【普通格局(食神格・傷官格・偏財格・正財格・偏官格・正官格・偏印格・印綬格)の成立条件】をお読みください。

また、用神の取り方は身強か身弱かで大別することができます。このため、身強・身弱の命式を分けて考えると分かりやすいです。

以下、普通格局の身強・身弱における喜神・忌神をまずはご確認ください。

身強(普通格局)の場合の喜神 食傷・財・官
身弱(普通格局)の場合の喜神 印・比劫

これについては知っている方も多いかと思います。普通格局において日干が弱いということは、命式の心臓である日干のエネルギーが弱いということですので、喜神は日干を生助する印と比劫になります。

対して、既に日干のエネルギーが強い身強の場合は、印や比劫はさらに日干のエネルギーを強めてしまう、つまり命式のバランスを余計に偏らせてしまうため、日干のエネルギーを中和することが求められます。すなわち、食傷・財・官の五行が喜神となるわけです。

しかし以上の表は大雑把なものであって、実際は身強であっても官はあまり好ましくない、身弱であっても比劫はあまり好ましくないといった命式もありますので、以下ではその辺りについても触れていきたいと思います。

身弱における用神の見極め方

今回は、普通格局の身弱となる命式に限って解説をしていきます。普通格局の身弱となる場合は、日干のエネルギーが弱いわけですから、喜神は日干を生助する印と比劫の干ということになります。

しかし命式には、身弱と言っても大きく分けて3つのタイプがあります。この3つのタイプによって用神、および喜神・忌神の取り方が異なるわけです。これより、その3つのタイプ別に用神および喜神・忌神の取り方について解説していきます。

食傷が大過する命式の場合

まずは食傷が大過する身弱の場合から見ていきましょう。食傷は日干のエネルギーを洩らす五行です。

命式の様相用神喜神忌神
食傷が大過する身弱 印、比劫(※ただし日干の根がない場合は閑神) 食傷、財、官(※ただし印が日干に近い場合は閑神)

食傷が大過する身弱の場合、用神と喜神・忌神は以上のようになります。()が付いていることでも分かるかと思いますが、食傷大過であってもさらにその中にタイプがありますので、喜神や忌神はそれによって多少変わる可能性があります。

しかし用神については、普通格局で食傷が大過する場合の用神は『印』となります。これは、食傷が日干のエネルギーを洩らしてしまうことに対し、印は食傷を剋すため、大過する食傷のエネルギーを抑え、命式のエネルギーバランスを中和してくれるためです。

なお比劫は食傷を生じる五行であり、大過する食傷をより強めてしまうため、用神とはなり得ません。それどころか、もし日干の根がない場合は、比劫は食傷を生じて日干のエネルギーを消耗するため、忌神寄りの閑神となることもあります。

命式の例としましては、以下のような命式が『用神・印』となるものです。

日干・戊土に対し、食傷の金が大過しています。こちら食神格の食傷大過の命であるため、用神は印の丙火を取ります。なお丁火は金を剋すといっても弱く金に負けてしまうため、用神は陽火である丙火となることを覚えておいてください。単純に火としても間違いではないですが、どちらの火が好ましいかということを常に考える必要があります。

財が大過する命式の場合

次に、財が大過する身弱の場合を見てみましょう。財は日干が剋す五行です。

命式の様相用神喜神忌神
財が大過する身弱 比劫 印、比劫 食傷、財、官(※ただし印が日干に近い場合は閑神)

財が大過する身弱の場合、喜神は印と比劫で決まりです。ただし官につきましては、喜神の印を生じるという作用があるため、もし命式に印があり、なおかつ印が日干に近い場合は閑神となることがあります。

用神は、大過する財を制することのできる比劫の陽干となります。なぜなら、印は財に剋される関係であるため、強い財に負けてしまうためです。このため財を強く制することのできる比劫の陽干が有力となります。命式としては、以下が用神・比劫となります。

身弱の正財格です。日干のエネルギーが弱く、財の火が大過しています。この時、用神を印の金としても火に剋されてしまいますので、用神は火を制する壬水を取ります。こちらの命式では用神が地支の亥に蔵されているものの、巳火に囲まれて汲々としています。

官が大過する命式の場合

最後に官が大過する身弱の場合を見てみましょう。官は日干を剋する五行です。

命式の様相用神喜神忌神
官が大過する身弱 印、比劫 財、官、食傷(※比劫に力がある場合は閑神となる)

官大過の身弱の命式の場合、用神は必ず印となります。なぜなら印は官のエネルギーを吸収し、日干にエネルギーを与えてくれるためです。もし日干が丁火であれば、官は水であり、印は木です。水が大過していますので、木を用神として用い、水のエネルギーを吸い上げるというわけです。

比劫は官に剋される五行です。このため比劫を用神としても、大過する官に負けてしまうため、官大過する場合は必ず印を用神とします。陰陽につきましては、日干が何かによって変わってきます。たとえば、以下の命式が官大過の身弱となります。

日干・辛金に対し、官の火が大過しています。正官格の身弱であり、官が大過していますので、用神は己土となる命式です。己土が用神となるのは、陰土は生金能力が高いためです。特に火が強い命式の場合、陽土は乾いてしまって金を生じる力が弱いため、用神とはなりません。

次回は普通格局における身強の命式について、用神の取り方を解説していきます。